交代人格のひとつ ISH

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どんな人も個人の中に、自我の枠を超えた『超自我』や『良心』 『叡智』といったものが存在しますが

解離性同一性障害の場合はそれが人格のひとつのように現れ、ISHと呼ばれています。

他の人格を観察するオブサーバーのような人格として存在することがあります。

専門家の間ではISHと呼ばれるこの存在はInner Self-Helper (内部の助力者)の略で、
正常な人間では、これは個人の最善の部分–「良心」あるいは「超自我」と呼ばれる部分です。
セラピストに協力的で治療の助けを得られる存在でもあります。

ISHの性質は必ずしも個人の性格や教養・信心深さとは関係ないそうです。


あるDID患者のISHはこのように自分について説明したそうです。

「私はたくさんの働きをしています。私は良心です。必要があれば罰を与えるものともなります、教師であり、疑問への回答者です。私は彼女の未来の姿ですが、完全に同じものではありません。彼女は感情の表現手段を持っていますが、それは私には必要ないものです。将来の彼女は私の論理的思考能力と物事を客観視する能力を持つ事になります。そうなっても私はずっとここにいて、独立したままです。ただ独立と言っても、あなたが普通の人と同じように、ごく細い線で全体と区切られているだけです。緊急用の予備のように。もし私がいなくなれば、彼女には体しか残りません。私を一部だけを残して取り除く事も出来るでしょう。しかし私を全て取り除いてしまえば、彼女は抜け殻になります。私は今、交代人格たちの作り出した混乱と問題を整理しているところです。」

確実なのは、どの患者のISHも、このような発言内容は一致していて、信頼性があるということです。

ISHの現れ方は様々です。幻覚、話しかけ、自動書記、自分の中の声など。

ISHは患者を健全な精神状態に導こうと働きかけます。

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1974年の論文の中にみられるISHの記述(アメリカの精神科医ラルフ・アリソンによる)

解離性同一性障害(以下DID)はしだいにひとつの精神疾患として認知されるようになってきましたが、
<内部の自己救済者=Inner Self Helper>の存在をはじめとして、解明されていない部分は多くあります。
また、私達が経験から学んできたことはいずれ科学的根拠がしっかりと明らかにされると信じていますが、
現時点では既成の科学的思考の小さな戸棚にはなかなか収まりきれません。
患者の体験は、精神医学の教科書の内容からはみ出ている事が多く、殆どの医師はそのような現実の意味を探ろうとするよりは無視してしまうのです。
DIDの患者を次々に診ていくうちに、彼らの現実認識と経験に多くの共通性があることに気がつくようになりました。
ISHのパターンについて考えてみましょう。
交代人格は、患者の表現されない怒りや暴力的なトラウマを処理するために”生まれる″のですが、ISHはそうではありません。
ISHはDID患者だけではなく、誰にでも生まれた時から存在しいる存在なのです。
ただ、DIDの場合はISHが別の人格であるかのように見えるだけです。

 


+私の中のISH+

私の中には5人のISHがいることが確認されています。
ISHは交代人格とは違います。

ISHに共通して言えるのが、交代人格のように多くの時間を現実で過ごすことはないということ。

交代人格を感情と仮定するなら、ISHは理性とされるでしょう。/ラルフ氏のHPより。


ISHには、意識内の人格関係をみる人や、記憶の管理をする人、脳内を把握するための人、危機的状況を助ける人、直接手をださないけど影響を与える人、など色々なパターンで存在するようです。(人格11の日記より


一番私に近い存在のISHは、人格8。
彼は意識内で普段から姿形を持ち行動する、最初は交代人格、私倉橋優の鏡だった人格。
薬を大量に飲んだりしたときに交代し、薬を吐いたり病院に電話を・胃洗浄に耐えてくれるような人です。
彼は交代人格の性質を失わず、現在もたまに意識上に上がり、絵を描いたりしています。

人格16。
彼も意識内で姿をもつ人格で、はじめからISHとして行動しています。
8と共に、意識内の人格関係を保とうとします、ほとんど意識上にあがることはありません。
記憶の管理者でもあります。

人格12さん。
彼女は、直接は何もせず、子ども部屋におり、子ども達の面倒をみています。
彼女は間接的に交代人格の能力に影響を与える性質を持っています。

あと二人、私の中にはISHがいるようです。しかし、彼らは声だけの存在です。
私たちが普段見えない場所から、私たちの行動を観察し、助言します。


http://www.dissociation.com/より・ISHの特徴

  1. ISHの第1の役割は彼女の人生設計が完了し完了されるまで、患者を生きているようにしておくことです。
    ISHは、任意の可能な方法で自殺を防ぐでしょう。
  2. いつも患者のそばに居て、冷静に観察しています。
  3. ISHには、人を憎む能力が無い。彼らが感じるのは愛だけで、神への信仰を表すだけです。
    彼らは神の癒す力と愛を伝えるパイプ役として働く。自分が弱ってきたと感じると、より高次の力に助けを求めることが出来ます。
  4. 意識を持っていますが、自らが独立した存在で居たいと言う欲求を表すことは無く、むしろ患者と一体になりたいと望んでいます。
    そして、他の人格の特徴や役割をかなり正確に把握しています。
  5. 適切に生きて行動する方法をその人に教えることを担当します。
  6. 人間のセラピストが外部を処理している一方、共同セラピストとして患者の心の内部に作用することができます。
    ISHは純粋に理性的な存在で、セラピストと共に働こうとします。
  7. 患者の病歴の事ならすべて知っています。そして、短期間の患者の行動を予言することができます。
  8. ジェンダー・アイデンティティー(社会的・文化的性別)の個人の感覚を所有しないが、セラピストが快適な一方のジェンダーを仮定するでしょう。
  9. ISHには感情が無いように見えます。プログラムされたコンピュータのように質問に答え、情報を伝えます。
    注意深く正確な言葉を選び、要するに簡潔な文を話します。質問に答えることを好みます。
  10. 俗語(酷い言葉を指す)を使用することを回避します。
  11. 患者の過去の全てを知っています。

 


参考文献(敬称略):「多重人格者の真実」服部雄一
「私」が私で無い人たち ラルフ・B・アリソン