解離性同一性障害の発症に繋がる因子があるのではという仮説から、

クラフトの四因子説/ブラウンの3Pモデルを紹介します。

◆要は、この因子をそれぞれ兼ね備えた人が解離性同一性障害になる可能性を高くもつであろうという説です。


クラフトの四因子説(1984)

Ⅰ 解離能力/催眠感受性
 1.外傷性解離 2.自己催眠性要素3.この因子を欠く場合、詐病や非解離性病態を示唆される
Ⅱ 子供の自我の適応能力を上回るような生活史上の外傷体験
 1.通常報告される外傷

  a.性的虐待

  b.身体的虐待

  c.心理的虐待

  d.家族の要因

2.通常報告されるもの
a.重要な他者の死や喪失に関する物   1.重要な他者の死や喪失(複雑でないもの)2.重要な他者の死への直面3.重要な他者の傷害の目撃 (例、殺人や戦争)

4.死体との接吻 (死体に強制的に触れさせられる、または、接吻させられる)
b.愛する人とは関係ない他人の死に遭遇すること

1.不意の遭遇

2.戦争に関するもの
c.自己の生存や一貫性に対する重大な脅迫

1.持続する強烈な痛み

2.重症の衰弱性疾患

3.臨死体験
d.文化的なギャップ
e.養育権争いの中で親から受ける「洗脳」
f.反対の性として扱われること
g.強烈な原光景体験

3.刺激に対する防御を低め、体験をより外傷的にするような因子a.疾病と痛み

  b.個人を狙った虐待による物ではない身体的外傷

  c.疲労

d.分離一固体化の失敗

e.先天性奇形および自己愛の傷つき、身体的自我障害

f.その他

Ⅲ 解離性防衛の形態を決定し、病体を形成するような影響力と素質
1.第Ⅰ因子と第Ⅱ因子に上げた生得的メカニズムa.解離それ自体 b.自己催眠c.認知と記憶に関する多重システム1.隠れた観察者現象(Hilgard)

d.自我状態現象

状況依存性学習

2.第Ⅰ因子と第Ⅱ因子に挙げた分離の力を促進する生得的能力 a.発達論的要素1.リビドー的2.自己愛的3.対象関係的

b.想像上の友人

c.取り込み、内面化、同一化の過程

d.その他

3.外的影響力 a.子ども時代1.役割行動の奨励2.矛盾する親の欲求や強制力のシステム

3.多すぎる養育者

4.DID患者への同一化

b.現在

1.先行する治療

2.メディアと印刷物

3.面接技法の誤り

4.状況反応性自己催眠

Ⅳ.重要な他者が、刺激からの保護と立ち直り体験を与え損ねたこと
(例えば「慰め」の不足)

ブラウンの3Pモデル

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解離性同一性障害・解離性障害の病院における三つのP(脆弱因子、促進的事件、永続的現象)の影響力。
太い矢印は細い矢印より影響力が大きいとされています。

このモデルの基本構造はクラフトによる四因子仮説とほぼ同様である。これは、脆弱性因子-predisposing factors-、促進的事件-precipitating event-、永続的現象-perpetuating phenomena-というPで始まる3つの因子によって解離性障害及び解離性同一性障害を説明するものである。脆弱因子の中にクラフトの第Ⅰ因子第Ⅲ因子の一部が含まれており、促進的事件は第Ⅱ因子に相当する。永続的減少は第Ⅲ因子の一部と第Ⅳ因子であると考えられる。図には、解離性同一性障害が多くの持続的要因による慢性病態である事が示されている。