『親に虐待された子どもは、自分をいじめる相手に近づく』という話があります。

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子どもを保護しきれない現状

子供を殴ったり、蹴ったり、ものさしや布団叩きでひっぱたいたり、アイロンや熱湯でやけどを負わせたりといった、子どもを虐待する親の問題もだんだん表面化されていきました。しばらく前までは、折檻などといっていましたが、これは全て子どもいじめ、虐待です。

幼い子どもへの虐待は生命に危険が及ぶ場合もあり、周囲が手をこまねいているうちに死亡してしまう例も少なくありません。家庭と言う密室空間の中で行われている事は、周囲にはなかなかわかりません。しかし、虐待の事実を発見した第三者が子どもを保護しようとしても、「親権」という壁が立ちはだかります。親が子どもを「連れて帰る」と言えば、引き渡すしかないケースも多いのです。

世界観がその人の人生を支配する

無事に生き残って大きくなっても、親に虐待された経験を持つ子どもは、人間関係に大きな傷を背負います。私達の人間関係は、ほとんどが親、それも母親との関係をなぞるものです。母親が残酷で、自分を一切認めず、いじめられ続けた人であれば、むしろ自分をいじめる人との関係に安心感を抱いてしまいがちです。他の母親を体験していないので、自分を冷たく扱う人のほうがなじみがいいわけです。他人から大切にしてもらったりすると、どうにも落ち着かない。その人にとっては、「自分が大切に扱われ、心から愛される」というのは未知の世界ですから、勝手が違って居心地が悪い。そして大急ぎで、また自分をいじめる人との関係を求めるのです。

パートナー選びに現れる親との関係

親に、「お前はダメだ、ダメだ」と言われて育った女性は、自分を「ダメ」扱いする男性を選んでしまいます。そして彼になじられながら「ほら、やっぱり私はダメなのよ」と確認し、その関係に安心する。親に酷い事をされても、「あんな親でも、私の事を愛してくれている」と思っていますから、男性にどんな酷い扱いを受けても、「こんな彼だけど、本当は私の事を愛してくれている」と思う。酷い事をされるのが「愛」だという、どこかゆがんだ認識を持ってしまうのです。

「なぜあんなにいい子が、あんなどうしようもない男と結婚するのかしら」と周囲が不思議に思うような不釣合いな結婚はたいてい親との関係が原因で起こっています。いじめられた子どもは親に気に入られようと必死で「よい子」をやってきましたから、周囲の願望を読むことに長けています。自分の欲求より何より、まずは他人の欲求を満たす事を優先し、尽くします。そして自分をいじめる「つくしがいのある」男性を求めます。

彼女達は、どこかでその冷たい男が、自分の愛によって改心し、暖かく信頼できる人物に変わってくれることを望んでいるようです。そうする事で、自分に冷たかった親によって負わされた心の傷が癒される、と思えるのかもしれません。

相手の暴力性を引き出してしまう

しかし、逆に普通の男性を自分に冷たくするように作り変えてしまう場合も多いのです。

「いじめられる自分」に慣れてしまっている人は、相手から自分をいじめる気持ちを引き出すのがうまい。やさしくされると、「こんなはずはない、今はこうだけど、いつかは私をいじめるのではないか」と不安になり、わざわざ相手に嫌われるような態度をとったり、ちょっとした目線やしぐさで巧妙に相手をイライラさせます。
こうして、思い通りに相手が自分に冷たくするようになると「ほら、やっぱりね」と安心する。「自分はいじめられるのだ」という信念を確認し、更に強化してしまうのです。女性の例で説明しましたが、勿論男性にもこういう人はいます。


参考文献:インナーマザーは支配する 斉藤学