何を児童虐待と定義しているのか、書籍「虐待の心理学」より定義を紹介します

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近年、全国各地で相次ぐ児童の虐待行為に対処すべく、「児童の虐待の防止等に関する法律(2000年11月20日施行)」というものが作られた。それによれば、児童虐待は「保護者(親権を行うもの、未成年後見人そのほかのもので、児童を現に監護するものを言う)がその監護する児童(18歳未満の者を指す)に対し、次に掲げる行為をすることを言う」とされている。
ここに示されている行為は概ね次の四つである。

1. 児童の身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行を加えること

…これはいわゆる「身体的虐待」のことで表面化した事例としては最も多い。殴ったり蹴ったり、突き飛ばす程度ならまだしも、中には首を絞めたり、溺れさせたり、煙草の火を体に押し付けたりと言う酷いケースがある。これらの虐待が、子供達を生命の危険にさらしてることは言うまでも無いが、命に別状は無くても心身の後遺症を残すことも少なくない。

2. 児童にわいせつな行為をすること、または児童をしてわいせつな行為をさせること

…これはいわゆる「性的虐待」である。性的ないたずらや性行為そのものを保護者であるはずの親が子供に対して強要するもので、女の子がターゲットにされやすいという傾向にある。なお、性的虐待には、被害を受けている子供が口にしないと、周りからは分かり難いので、問題が表面化しにくいという一面もある。また、被害者の心に与える傷が大きい上に、その回復にも時間を要するやっかいな問題でもある。

3. 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、または長時間の放置そのほかの保護者としての監護を著しく怠ること。

…これは俗に「ネグレクト」と呼ばれ、一時放棄を指している。子供は誰かが手助けしなければ生きていけないが、ネグレクトは保護者である親が必要な衣食住の世話をしなかったり、病気になっても医者に連れて行かない、学校にも行かせないと言った行為を指す。子供を車に置き去りにしたまま買い物をしたり、パチンコをしたりする親もいるが、程度は酷ければそれらも当然このネグレクトに含まれる。

4. 児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

…これは、「心理的虐待」と呼ばれるもので、酷い言葉や極端に無視することで子供を傷つける行為を言う。身体的な傷こそ残さないが、心に与えるダメージは想像以上に大きい。酷い時は子供に、強いおびえ、うつ状態、無感動・無反応などの症状が現れることもある。もっとも、心理的虐待だけが単独で行われることは珍しく、他の虐待行為を伴うのが一般的だが、仮に心理的虐待だけが行われている場合、問題が表面化しにくいという一面もある。


参考文献:虐待の心理学 和田秀樹