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■交代人格(管理人談)この話になると、漫画やテレビなどで面白おかしく取り上げられているだけに胸が苦しくなりますが、
学会で報告されているような物だけを取り上げてみました。
私の中の交替人格は私が知っているだけで13人います。
以前は交代人格の特徴などを書いたものを公開していましたが、今はお休みしています。
今、私はあまり他の人格との交流がほとんど無いため続けられないというのも原因の一つですが、
私の中の人格たちも以下に紹介するようなものばかりです。
人格については不思議な点が多くあります。
“火事場の馬鹿力”の様な人間の潜在的な能力を容易く発揮する事など、わかりやすい例えでしょうか。

『人格』とは知覚、思考、感情、意思が能動的に自身から発する物として体験され、外界から独立した存在であり、自己は単一であり、時間軸において同一であると言う自我意識のことです。

こうした自我意識によって人は一つの自我同一性を保ち、
時間的、空間的、社会的な内容を伴った存在として自分自身を認識する事が出来る。

通常の人は、一人の「私」という自己同一性を持っています。

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それが解離性同一性障害では複数の「私」という自己同一性が存在し、
すなわち複数の「私」が全体として一つの人間(人格システム)を構成しています。

この一つ一つを交代人格と呼びます。
交代人格は、たいてい自分の名前を持ち、自分の生活史を持っており、
特定の機能を発達させ、特定の状況への行動や感情反応は一定しています。
そのため、ひとつの体の中に何人かの人間が住んでいるように見えます。
それぞれの人格の間にはある仕切りが存在し、
それぞれがまとまりをもっています。

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解離性同一性障害の存在を否定する研究者はしばしば、
「誰でも複数の人格を持っている」
「誰でも状況に応じて別の行動パターンをとる」
と言いますが、この場合の人格は正確には交代人格と呼ぶものではなく、
ペルソナと言われる仮面・TPOに合わせた対応のことを呼んでいます。

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交代人格は、人格システムに取り込んだ寄生体や異物のように考えられることもありますが、そうではありません。

主人格(host personality)でさえ交代人格のひとつであり、単に出番の多い人格に過ぎないのです。
主人格は「ある時期において大部分の時間、体を管理的に支配している人格」と定義されています。

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また、基本人格(original personality)は主人格に似ているものですが、違います。
基本人格とは、「出生直後に生まれ、重大なストレスから体の生存を助けるために、初めて新しい人格を切り離した存在」です。
つまり、多大な苦しみを受ける前の、無傷の自分です。
基本人格は様々な交代人格を生み出します。全ての人格は、基本人格から派生してきます。
けれど、主人格が基本人格であるとは限りません。

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交代人格はそれぞれ、人格システム全体の中で特定の機能と優位感情を持っています。
人格が変わるということは、そのとき、患者の体を支配しているある交代人格が別の交代人格へ切り替わることです。
患者の口調、しぐさ、感情は、そのときどの交代人格が体を支配しているかによって決まります。

交代人格を主に機能によって類似化すると、次のようになります。

・子ども人格(これは絶対的に見つかる人格です。過去の体験を抱えて苦しむこどもや、天真爛漫な子どもがいます。)

・迫害者人格(自分に危害を加えた人がそのまま人格となって患者の中にあらわれることも珍しくありません)

・自殺者人格、

・保護者人格 (保護者、外界の人間関係に対し、自分たち集団を守るために攻撃的な場合が多い。“救済者人格”の一種だが、オリジナル人格の最強の保護者である。会話をしてみて、彼らはISHと密接にかかわっているか、また多くの場合ISHによって作り出されたものであることがわかった。
以前から居た“救済者人格”として交代人格から作り出されたり、必要が生じてISHによって新たに作り出されたりしたものである。)

内なる自己救済人格=ISH (窮地に陥ったときに交代し、自殺を防いだりします。力が驚くほど強いなど特異的な点が多い人格)

・記録人格=トレイスと呼ばれる。(記憶を管理をする、特異的な点が多い人格)

・異性人格(女性の場合、異性人格は男性になりますが、彼らは守る、かばうなどの役目のほか、同性愛を誘発する性的感情を抱いていることもあります)

・性的放縦者人格(セックス依存などを抱える人格)

・脅迫人格(自殺をそそのかしたり、中傷めいた言葉を発します。これが強い場合、分裂病の誤診が下る可能性が高くなります)

・薬物乱用者人格(その名の通り、薬物乱用する人格です。類としてアルコール依存をもつ人格も見られます)

・身体障害のある人格(盲人格が多く報告されるようです)

・自閉的人格(自閉症のように見える人格、特異的な点も見られるそうです)

などなど。

上記だけでは誤解されそうですね、
別に漫画や小説にでてくる
面白おかしく、ミステリアスなものでは無いということを、心にとめて置いてください。
何度も耐え切れない苦痛を味わい、それに対し、いつ、どんなときでもという備えの防衛として機能するものがほとんどです。

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子ども人格は自分のことを子供であると認識しており、子どもらしく、しゃべり、振舞います。
女性患者の場合、異性人格は男性人格ですが、その男性人格は自分のことを男性だと考え、男性のような言動を行います。

DSM-Ⅳによれば
「2つ以上の異なる自我同一性または人格状態の存在」が
「反復的に、その行動を完全に制御している」
ことが解離性同一性障害の診断基準なのです。

交代人格について、パトナムは以下のように定義しています。「ある優位感情と身体イメージを含む自己感覚をめぐって組織された意識が高度に分立し各々の行動の種類は限られており、
その状態に結びついた記憶をもった状態である」

また、クラフトは以下のように述べました。

「持続的で堅固な自己感覚を持ち、刺激に反応する際の
行動と感情に一貫した特徴的パターンを示すようなものである。
交代人格は、機能と感情的反応、およびその人格が存在する根拠となる生活史を必ずもっている」

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1978年、ラルフ・E・アリソンの報告では、交代人格の数は平均9.7、
1980年ユージン・ブリスの報告によれば、平均7.7。
1986年のフランク・W・パトナムは、百例の別個に診断された解離性同一性障害患者について、交代人格の平均は13.3と報告し、
1984年クラフトは自験例33例の平均は13.9だったそうです。彼はこの後も症例を追加し、これを含めると交代人格数の平均は15以上と訂正しました。
ひとりの患者に50あるいはそれ以上の交代人格を持つ症例を報告している治療者を私は聞いた事がありません。しかし、非常に経験のある治療者ならいずれこのような複雑な症例をひとりは診ることになるでしょう。

そして、いわゆる二重人格は稀の稀だそうです。
真の交代人格は、時間を通して、また広範囲の状況にわたって驚くほど一貫性のある持続的な存在です。


参考文献:

[ 精神科治療学 第10巻 第1号 p27-34 安克昌、金田弘幸  (1995年1月) ]

[ 精神科治療学 第12巻 第10号 p1147-1157 田中究 (1997年10月) ]

「私」が私で無い人たち/ラルフ・B・アリソン

多重人格障害 -その診断と治療- フランク・W・パトナム